漏斗胸の低侵襲手術における肋間神経クライオアブレーション vs 胸部硬膜外鎮痛:ランダム化比較試験(ICE-trial)
Intercostal nerve cryoablation versus thoracic epidural analgesia for minimal invasive repair of pectus excavatum: a randomized clinical trial (ICE-trial)
論文情報
- 著者
- van Polen EJ, Duijsens GH, Janssen N, Daemen JHT, Franssen AJPM, Franssen CJ, Hulsewé KWE, Vissers YLJ, de Loos ER
- ジャーナル
- European Journal of Cardio-Thoracic Surgery・2026
- DOI
- 10.1093/ejcts/ezag203
- PubMed
- PMID: 42528259
- サンプルサイズ
- n = 48
- 研究デザイン
- 単施設・非盲検・ランダム化比較試験(優越性デザイン・主要評価項目=入院期間)。対象 12〜24 歳・Nuss 法予定例
- 領域
- measurement
論文紹介
Nuss 法の術後の痛みをどう抑えるか——クライオアブレーション(肋間神経の冷凍凝固)と、 従来標準だった胸部硬膜外鎮痛を直接比較したランダム化比較試験です(2026 年 7 月)。
結果:痛みと入院は劇的に減った
| 項目 | クライオ | 硬膜外 | P | |---|---|---|---| | 入院期間(主要評価項目) | 1 日 | 4 日 | < 0.001 | | オピオイド使用(入院中) | 83% 減 | — | < 0.001 | | オピオイド使用(退院後) | 97% 減 | — | < 0.001 | | 術後 7 日目の痛み | 低い | — | 0.010 | | 術後 14 日目の痛み | 低い | — | 0.035 | | 術後 1 日目の離床 | 多い | — | 0.012 |
一方で、差が確認されなかったもの
- 仕事・学校への復帰までの期間:有意差なし
🔴 代償(この研究の最重要な所見)
術後 6 か月の時点で、クライオを受けた人の 56% に胸壁の感覚鈍麻が残っていました。 著者ら自身が「長期的影響のさらなる検討を要する課題」と明記しています。
限界
- 単施設・非盲検(患者も医療者も割付を知っている) - 48 名と小規模 - 対象は 12〜24 歳。それ以上の年齢にそのまま当てはめられません - オランダの単一施設。日本の医療機関で同じ選択肢が提供されるとは限りません
主要な所見
- 単施設・非盲検のランダム化比較試験(NCT05731973・オランダ Zuyderland Medical Center)。Nuss 法を予定した 12〜24 歳を、肋間神経クライオアブレーション(INC)群と胸部硬膜外鎮痛(TEA)群に無作為割付
- 50 名を無作為化し、48 名を intention-to-treat 解析に組入(INC 25 名 / TEA 23 名)
- 🔴 主要評価項目の入院期間:INC 1 日(IQR 1-1)vs TEA 4 日(IQR 4-4)・P < 0.001・効果量 r = -0.94
- オピオイド使用量の減少:入院中 83% 減・退院後 97% 減(いずれも P < 0.001)
- 術後疼痛の低下:7 日目 P = 0.010・14 日目 P = 0.035
- 離床の増加:術後 1 日目 P = 0.012・2 日目 P = 0.013
- 🟡 仕事・学校への復帰までの期間には有意差が見られなかった
- 🔴 術後 6 か月時点で 56% に胸壁の持続的な感覚鈍麻(hypoesthesia)が認められた
- 著者らの結論:INC は入院期間・オピオイド使用・術後疼痛の低減において TEA より優れる。ただし 6 か月時点で残る胸壁の感覚鈍麻は課題であり、長期的な影響のさらなる検討を要する
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