漏斗胸の思春期患者における Schroth ベース運動療法の効果:対照臨床試験
The effects of Schroth-based exercise therapy in adolescents with pectus excavatum: A controlled clinical trial
論文情報
- 著者
- Kandemir B, Yagci G, Uysal S, Akkas Y, Erbahceci F
- ジャーナル
- Prosthetics and Orthotics International・2026
- DOI
- 10.1097/PXR.0000000000000545
- PubMed
- PMID: 42169217
- サンプルサイズ
- n = 35
- 研究デザイン
- 対照臨床試験(非ランダム化・2 群比較・トルコ Hacettepe 大学)
- 領域
- physical-improvement
論文紹介
漏斗胸に対する運動療法を、対照群を置いて検証した数少ない臨床試験です (2026 年 5 月・オンライン先行公開)。
Schroth 法はもともと側弯症に対して用いられる運動療法で、姿勢と呼吸を三次元的に 扱うアプローチです。本研究はそれを漏斗胸に応用し、吸引ベル単独の群と 吸引ベル+Schroth ベース運動の群を比較しました。
結果は、きれいに 2 つに分かれました。
改善したもの(群 × 時間の交互作用が有意) - 矢状面の脊柱姿勢:頭頸角・胸椎角・胸腰椎角・腰椎角 - 疾患特異的 QOL:Nuss Questionnaire(子ども版の身体機能・総得点、保護者版)
改善しなかったもの(有意な交互作用なし) - 変形の重症度(人体計測指数で評価) - 胸郭の可動性(胸囲)・脊柱の可動性(sit and reach・modified Schober) - 筋持久力(sit-up・lateral bridge) - 一般的な QOL(Pediatric Quality of Life Inventory)
つまり、**運動を足しても凹みの重症度そのものは動かなかった一方で、姿勢と 「漏斗胸に関する生活の質」は動いた**、ということです。
限界・注意: - ランダム化されていない対照試験であり、群分けの偏りを排除できません - n = 35(19 対 16)と小規模。効果推定の精度は高くありません - 対象は思春期。骨格の成長段階が異なる成人にそのまま当てはめられません - 単一施設(トルコ)の研究です - 両群とも吸引ベルを使用しているため、「運動単独」の効果を示すものではありません - Schroth 法は本来側弯症向けの手技であり、漏斗胸への適用は研究段階です。日本で 漏斗胸に対して同じ内容の指導を受けられるとは限りません
主要な所見
- 漏斗胸の思春期患者 35 名を 2 群に分けた対照臨床試験(吸引ベル+Schroth ベース運動 19 名 / 吸引ベル単独 16 名)
- 🔴 有意な群 × 時間交互作用が出たのは「矢状面の脊柱姿勢」と「疾患特異的 QOL」の 2 領域のみ
- 矢状面姿勢:頭頸角(p = 0.022)・胸椎角(p < 0.001)・胸腰椎角(p = 0.002)・腰椎角(p < 0.001)
- 疾患特異的 QOL:Nuss Questionnaire 子ども版の身体機能サブスケール(p = 0.005)と総得点(p = 0.034)、保護者版(p = 0.024)
- 🔴 有意な交互作用が出なかったもの:変形の重症度・胸郭可動性・脊柱可動性・筋持久力・一般 QOL(いずれも p > 0.05)
- 著者らの結論:Schroth ベース運動を吸引ベルに併用すると、吸引ベル単独より矢状面の脊柱姿勢と疾患特異的 QOL の改善に有効
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