肋軟骨
Costal Cartilage
肋軟骨(Costal Cartilage) は、肋骨と胸骨をつなぐ軟骨組織です。漏斗胸の発生機序において中心的な役割を果たします。
構造
胸骨 — [肋軟骨] — 肋骨 — 背骨
第 1〜7 肋骨は、自身の肋軟骨で直接胸骨に接続します(真肋)。 第 8〜10 肋骨は、上位の肋軟骨に連結します(仮肋)。 第 11〜12 肋骨は胸骨に接続しない(浮遊肋)。
機能
- 胸郭に弾性と柔軟性を与える
- 呼吸時の胸郭の拡張・収縮を可能にする
- 肋骨と胸骨の接合部の衝撃吸収
漏斗胸との関連(最有力説)
漏斗胸の原因として現時点で最も有力とされる説が、肋軟骨の過剰成長説です。
肋軟骨が他の骨組織に対して過剰に成長
↓
肋軟骨が「縦に長すぎる」状態になる
↓
胸骨を後方に押し込む力が生じる
↓
胸骨が背中側に陥凹 = 漏斗胸の形成
この機序は、漏斗胸が思春期に進行しやすい理由(骨格成長期に肋軟骨が伸びるタイミング)も説明します。
手術での扱い
- Nuss 法: 肋軟骨を切除しない。金属バーで胸骨を内側から持ち上げる
- Ravitch 法: 過剰な肋軟骨を部分切除して胸郭を再形成
成長期の Nuss 法では、術後数年で肋軟骨自体が再成形され、バー抜去後も胸郭の形を保つことが期待されます。
加齢による変化
肋軟骨は加齢とともに石灰化が進み、柔軟性が低下します。これにより、高齢になるほど胸郭の動きが小さくなる傾向があります。
漏斗胸の手術が若年期に行われることが多い理由の一つは、肋軟骨が柔軟なうちに矯正する方が術後の結果が良好なためです。